「加納 光」の Blog

「マーケティング」に関するメモ




2016.06.08

ブランド戦略

By Kanou Hikaru


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「企業マークを変えると売れるようになる?」

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「小規模の零細企業を経営しております。創業して8年目になります。時代の変化や お客さんの要望に合わせて 色々な対応をしてきたのですが、最近、売上が上がらなくなってしまいました。

何を どうすれば良いのか迷子になってしまっています。どのように対応したら業績が上がるのでしょう?」といったご質問をいただきました。
 
 
 
なるほど・・・ 長らくマーケティング系の経営コンサルティングをしている人ほど 頻繁にいただく質問・・・そう言って良いと思います。

この質問もまた詳細がハッキリしないので「具体的な業績向上の手立て」をご提示できないのが残念ですが、このパターンの質問をしてこられる経営者の方々は、ほぼ「同じ落とし穴にハマっている」と考えて良い・・・と判断します。

それは「自分の会社の金看板が何なのか? 見失っている」ということです。金看板という言い方は、少々 古くさいかもしれませんね。

これをマーケティングの専門用語で言うと「コーポレート アイデンティティ」・・・省略すると「C.I.」という話になります。

1980年代に「C.I.」というものがブームになりました。この時 誕生した有名な企業が岡山の「トマト銀行」です。

ただし、この時代に用いられた「C.I.」は「新しい会社に生まれ変わる」という主旨のモノで、マーケティングの専門用語でいうと「コーポレート アイデンティフィケーション」となります。

日本語訳をすると「未来予想図」です。

今回は「金看板=そもそもの主力商品」という意味での「C.I.=コーポレート アイデンティティの話」を中心に紹介しようと思っています。

どんな会社にも「お客様に初めて大きく認められた主力商品」というものがあります。それこそが「金看板」と呼ばれる商品であり、その「自社の主力商品」に「込められている思い」こそ「コーポレート アイデンティティ」なのです。

結局「金看板=C.I.=コーポレート アイデンティティ」は、多角化や 先端新事業を表現するべきものではなく、その企業の「なりわい」の「ド真ん中」、つまりは「創業精神のヘソ、そのものでなければならない」のです。

たとえば、ジェット機を作ってしまったHONDAですが、その金看板は「ジェット機」でも「F1 CAR」でもなく「スーパーカブ」・・・ これは、世界的に40年にも渡るベストセラー商品です。

銀行やクレジット、ハウスメーカーとしてなどのCM露出が増えている「住友グループ」ですが、もともとのルーツは「鉱山事業」にあります。

住友の鹿児島鉱山で20年ほど前に、極めて高品位な金鉱が発見されたのも、単なる偶然には思えません。私は、これこそ「金看板」の典型ではないのか・・・ そのように思っています。

20数年前、カルピス社が業績を落としていた時期があります。当時、色々な味のカルピスが世の中に登場したのですが、思ったほど業績は伸びませんでした。その時に登場したのが「ペットボトルのカルピス」です。

カルピス社は、このコンビニで買えるペットボトルのカルピスで、一気に業績を回復しました。まさに「金看板への原点回帰」でカルピス社は息を吹き返したのです。

金看板には、不思議な 計り知れない霊力のようなオーラーがある・・・ と大先輩のコンサルタントの方々が 口を揃えておっしゃっていました。

確かに、近代的経営マネージメント・・・という観点からすれば、それは「取るに足らないモノ」「排除すべきもの」「低収益のお荷物」に見えやすいのです。しかしながら「金看板」は企業の根っ子なのです。

世界のパナソニックも、かつての松下電器時代の「乾電池のヒット」から成り立っています。素晴らしいと思うのは、今でも「最新の電池」を開発し続けていること・・・ 

そこに「世界のパナソニック」の底力と「執念ともいえる理念」を感じるわけです。

同じように「東芝電気」は「電球のヒット」からスタートしています。そして、今では「LEDライトといえば東芝」・・・ そのように言われるほど「LED事業」に力を注いでいます。

日立電気は「モーターのヒット」からスタートしています。今でも「冷蔵庫」や「掃除機」の最新機種の開発に躍起になっています。どこも「金看板」を大切に扱っているのです。

1952年、国産第一号のテレビを開発したシャープは、その後「電子レンジ」や「電卓」「ワープロ」などの開発を手がけますが、業績が悪化します。

その後「AQUOS」という名のテレビで一時復活を果たすのですが、太陽光パネル事業に事業を集中させた結果・・・ みなさんがご存知の通りの結末を迎えてしまった・・・ 

私たち マーケティングの専門家の間では、そういう見方をしている人が非常に多いのです。

今回、ご質問をいただいた「零細企業の経営者さん」ですが、まさに このような形に陥ってしまっているのではないか? と、推察できるわけです。

「自社の社員全員にとって 霊験あらたかな金看板」を無視し始めた時、また「そんな古めかしいものは、どうでも良い」と思い始めた時、予期しなかったような事業の行き詰まりがやってくる・・・ そういう事例は 驚くほどたくさん存在しているのです。

「そういう お前は どうなんだ?」という質問を受けそうですね。私どもの金看板は「リアル トレンド リサーチ& リアル ヒアリング リサーチ → レポート → 企画書 → 現場への徹底的な細部に至るまでの落とし込み」という 具現化型コンサルティングです。

この「戦略のみ重視する形」とは一線を画す手法は 35年前から全くブレておりません。経営者にアドバイスするだけでなく 現場の仕上げまで立ち会うところが我が社の強味・・・

なんだよ・・・どこのコンサルタントでも言ってそうなことじゃないか・・・と思う人も多いかもしれませんね。

本当に売れている現場に行って「このポイントと このポイントをおさえているからか・・・」という確認をして、本当にユーザーさんのところにいって「何をして欲しいのか要望を聞いて回る」という いちいち面倒な作業・・・ こんなことを クソマジメにやっているコンサルティング会社は希だと思います。

そして「商品を作るなら、こういう仕様にしよう。こういうパッケージデザインにしよう・・・」と開発者やデザイナーまで巻き込んで「具体的な指示」ができるコンサルタントも少ないと思います。

お店であれば、内装屋さんに「こういう壁紙で、この通路は何センチの幅で、この棚は何センチの高さで・・・」と具体的な指示を出す・・・

セールスマンや店舗の販売スタッフに「何をやったら売上が上がるのか? 何をやったら お客さんが 買いたい気分を失ってしまうのか?」それを、事細かに いちいちレクチャーする・・・ 

私たちは、こういう 面倒なところ に いちいち徹底的に こだわっております。というのも、その細部の違いがクライアント(患者)さんの業績を 驚くほど大きく左右するからです。

おっと・・・ 話を元に戻しましょう・・・ 冒頭で「C.I.」には「金看板となるコーポレート アイデンティティ」となるものと、「未来予想図となるコーポレート アイデンティフィケーション」というものがある・・・ そのようにご案内しました。少しですが後者の説明もしておきたいと思います。

会社が「死に体」になってしまっている場合、「いっそのこと1回 潰してしまって、まったく新しい会社として起業しようじゃないか・・・」と考えてみたものの、これまでの実績ゼロより、それまでの実績をバックボーンにして立て直しをした方が融資等が有利に働く場合・・・ 

「1回 潰してしまって、新しい会社として起業したつもり」になって会社を建て直す・・・ これが「コーポレート アイデンティフィケーション」です。

当然、会社の名前や会社のマークなどまで変わります。経営方針や社是、といったものまで変わります。何なら会社の幹部まで ゴッソリ入れ替わることも珍しくありません。

ところが、こういう変革の上っ面しか見ない人も大勢いらっしゃいます。そういう人ほど「会社のマークを変えれば売上が上がる」「イメージを変えれば業績は上がる」と思い込んでいらっしゃいます。

残念ですが、そうではありません。変えるべきは「経営者の意識と社員の意識」です。

生まれ変わったんだ! と意識を変えるために、会社名や会社のロゴ、ユニフォームまで変えて「別会社の経営者、社員として仕切り直しをする・・・」というのが「コーポレート アイデンティフィケーション」の真髄なのです。

マークを変えたら売上が上がる・・・ もし、本当に そうなら、コンサルタントの会社は、毎日でもマークを変えているに違いありません・・・

そろそろ、話をまとめたいと思います。業績が落ち込んだら「我が社の金看板は何か?」それを、徹底して追求する・・・ 原点に回帰する・・・ まずは、その作業をしてみる必要があると思います。

そして、実際に色々やってみて、どうにもならないようなら「今までの会社を潰して、新しい会社を起こし直す」という「死にものぐるいの変革」を行う・・・ そういう腹づもりが必要になるわけです。どうぞ、ガンバってください。


先日、仲の良い友人から「加納さん・・・ こんなにノウハウをガンガン公開して大丈夫?」と 優しいお心遣いの言葉をいただいたのですが・・・ まったく問題ありません。

先ほども申しましたが、我が社の強味は「その企業のその状況に合わせた業績向上のための具体的な落とし込み」です。

その部分を「有料」で対応しているので、こういう理論は どれだけでも紹介できます。こんな文章を読んだだけで業績が上げられる人は、よっぽどの天才・・・

それに、人間、納得できないことは納得できないのです。まず自分で色々やってみる・・・ 本当にニッチもサッチも いかなくなって「自分のやり方じゃダメなんだなぁ・・・」と思えない限り、他人の話に耳を傾けようとは思えません。

私だってそうです。でも、どうせなら「近道」を通って欲しい・・・ 苦しい時間は短ければ短いほど良いに違いない・・・ そのように思っているからこそ、最短距離のルートをご案内しているのです。




ホンキで売上を上げたいのであれば、ここに紹介したノウハウの詳細をゆっくりと読んでいただければ・・・ そのように思います。ホンキで解説していますから、とっても長文ですよ・・・

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