「加納 光」の Blog

「マーケティング」に関するメモ




2016.06.09

商品開発

By Kanou Hikaru


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「お金を出して買うだけの意味」

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「ビール業界の下克上を成し遂げた アサヒ スーパードライの開発指導をしたと聞きました。ぜひ教えて欲しいことがあります。食品メーカーの開発部門に勤めていますが、なかなかヒット商品を出すことができません。どうすればヒット商品が作れるのか? それを教えていただけないでしょうか?」というご質問をいただきました。


ここで、最初にお断りしておく必要があります。アサヒ スーパードライの開発指導をしたのは 現 代表の私ではなく、私の恩師でもある 先代の「伊吹 卓(いぶき たく)」という人物です。

1932年生まれの 伊吹は 3年前に「体力ももたんし、頭もまわらん。たとえ話も若い人に通じなくなった。もう仕事すんのは良え・・・ 年相応に疲れてしもた・・・」と、いとも あっさりと 会長職さえ辞してしまいました。

とはいえ、お陰さまで 80歳を越えた今でも 毎日 お散歩に出かけ 大好きな歴史小説の読書を楽しむ日々を悠々自適に送っているようです。

伊吹より引き継ぎ、いまだに継続して大阪会場にて開催し続けている「売れる商品開発塾」は、今年で 27年目を迎えました。よくよく考えると 4半世紀ですよね。

6ヶ月 1人が参加するのに30万円という金額にもかかわらず、卒塾生も 馴染みの企業からのリピート参加を中心に 1300名を越える勢いです。

伊吹が主任講師をしていた時代から、その金額を出しても「カンタンに元が取れます」という ありがたい声をいただき続け 現在にいたっております。

なにより ここで 改めて御礼を申し上げておきたいと思います。

この「売れる商品開発塾」には、ご質問いただいた方と ほぼ同じ悩みを抱えた方々がお越しになります。

私も 恩師でもある伊吹の理論と手法を踏襲しておりますので、今回は、2代目である 私なりの言葉を使った説明をしたいと思います・・・ 

とは言うものの、6ヶ月間で36ヶ月分のノウハウを体験的にギュッと押し込む 内容の濃いセミナーの全てを、ここで 文章のみで サラリとお伝えするのは、あまりにも難しい話です。

なので、ポイントをいくつかご紹介する・・・ということで ご勘弁いただきたいと思います。

企業の商品開発部門にお勤めの方々の「ほとんど」がハマっていることがあります。

それは「商品を開発する際の商品の意味付け」・・・ 高度経済熟成期とまで言われ、ちまたに様々な商品が あふれかえっている現代において、自分が作った商品を お客さんに選んでいただくためには、品質が良くて値段が手頃であるだけでは歯が立たない時代になっています。

多くの競合商品が並ぶ中から、お客さんに「あなたが作った商品」を選んでいただくためには「理由=わけ」が必要になってきます。

この商品には「これこれ、こういう 理由=ワケ がある商品だぞ!」と強くアピールしなければ 売れない時代になっているのです。

お客さんは「わけある商品」を選ぶことで、自分の「支払い」に「意味付け」を行っているのです。

手前味噌な話になりますが・・・ 私が かつて勤めていた西武流通グループが開発したブランド「無印良品」は、ブラインド創立当初「わけあって、安い」をコンセプトにしていました。

安くするために宣伝をしない。パッケージにお金をかけない。ネーミングを考えるにしても まったくお金をかけない。

売場づくりも徹底したローコスト・・・と、そのコンセプトを全身で表現したことが功を奏したのです。

この「ナチュラルテイスト」&「安いからこそ色々なものを楽しめる贅沢」こそ、時代の最先端・・・ という意味付けを行うために、わざわざ「東京の青山」に「無印良品の 購入者にとっての意味付けを行うためだけのショップ・・・ 無印青山」を開店させました。

当時の流行の最先端を自負する人たちが集まる街に、わざわざ、そういう店を作ったのです。

無印青山で大ヒットしたのは「無印自転車」と「無印マーガリン」「紙管のラック」・・・ そこから「無印スタイル」が全国に拡がっていったのです。

これを、小手先でやろうとしても お客さんは アッという間に見抜いてしまうのです。

単なる「ワケあり」や、単なる「ウンチク」くらいでは、今の時代のお客さんはピクリともしません。

先ほど紹介した無印良品の初期の展開も、今となっては、およそ30年近く昔に展開した「時代遅れの戦略」でしかありません。

30年前に、これだけのことをして やっと成功したのですから、今の時代、この程度では不十分なのは当然です。

15年ほど前に「インフォマーシャル展開」といったことが流行した時代もありました。いわゆる「トレンディドラマ」のシーンの中に登場させた商品が「バカ売れする」といった戦略です。

主人公と同年代のターゲットが、主人公の部屋に置いてあるインテリアを、我も我もと購入した時代もありました。結局、このインテリアを購入することで、購入者は自分の生活に「意味付け」をしたのです。

最近では、大手スーパーマーケットが「私たちは利益の中から樹を植えています」とPRしている企業もあります。

これも「しっかりとした意味付け戦略」だと言えます。同じように「天然化粧品」を作っている会社が「肌に優しい天然由来成分を使っている会社ですから、地球に優しい工場にするのは 当たり前・・・」といったPRをしていたりします。

これもまた「意味付け戦略」であることは否めません。

シェア4%程度の「医療従事者」か「デザイナー」、もしくは「音楽業界関係者」「テレビ業界関係者」しか使っていない・・・

こういう「Macintosh」の「アップルコンピューター」に憧れていた人たちが、手頃なスマートフォンやタブレット端末が登場するなり、我も我もと行列を作り購入しました。

これもまた「自分もアップルの端末を使っているんだぞ」という「意味付け」であると言えます。

こういう説明をしていくと「使う側・購入する側にとって、どんな意味があるのか?」ということがホントに重要であることを ご理解いただけるのではないかと思います。

どれだけ商品を作ってみても、売上がパッとしない。さっぱり売れない・・・ という開発新商品の ほとんどが「作り手・売り手にとって、こういう意味がある」とは言いながら「使い手・買い手にとって、まったく意味がない」という商品ばかりなのです。

購入者にとって「こんな意味があるんだぞ」という「意味」を見いだして、その「意味」をトコトン貫く必要があるのです。

半分シャレのような話になってしまいますが、「意味付け」ならぬ「意味漬け」が必要なのです。それくらい「意味や意義が ひたひたに染み込んでいる状態」を作らなければ、使い手・買い手はピクリともしないのです。

世の中には色々な商品があります。目に見えない「サービス」という商品もありますし「情報」という有料商品もあります。

いずれにせよ「機能・性能」のわりに「価格がリーズナブル」といった状態をつくってみたところで、似たような商品はゴマンとあるわけです。

その商品を購入する「購入者の生活」に、「どのような意味付けを行えるかどうか・・・」それがポイントになっています。

ここで、なんとか「アサヒ スーパードライの開発指導をした時に 開発者にお伝えしたノウハウの一部でも・・・」とも思ったのですが・・・

それを書き始めると、150話くらいのシリーズものの投稿が必要になってきそうです。そこで、絶版ではありますが、この本を紹介することにしました。Amazonなどで古書をお求めいただくことは可能だろうと思います。

Amazon「たかがビール、されどビール」

アサヒスーパードライの開発秘話については、開発を担当して後に東京支店長 常務取締役となった「松井康雄」氏の書かれた「たかがビール、されどビール」という著書の中に、私どもの 元会長が どのようなコンサルテーションをしたのか「第二章」の「不買動機」に記してあります。

よっぽど気になる方は、こちらの本を購入して その部分から読み取っていただければ・・・ そのように思う次第です。この本の内容は「ノウハウの紹介」は少しだけで、大会社でのドロドロとした出世争いの話であることを お断りしておきたいと思います。

具体的な商品開発ノウハウは、他にも いくつもありますが・・・ 「開発しても、開発しても、まるで売れない」・・・ そうおっしゃる方々は、ほとんどの場合、ここで紹介した「使い手・買い手にとっての意味付け」ができていないのです。

そういう意味で、もう一度 ご自分が作って来られた商品を使う人たちが「何を欲していたのか? その欲求にキチンと応えていたのか?」を ご確認いただきたい・・・ そのように思う次第です。




ホンキで売上を上げたいのであれば、ここに紹介したノウハウの詳細をゆっくりと読んでいただければ・・・ そのように思います。ホンキで解説していますから、とっても長文ですよ・・・

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まず 売れる人を 育てる
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