「加納 光」の Blog

「マーケティング」に関するメモ




2016.06.07

販売戦略

By Kanou Hikaru


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「横展開販売」と「リピート販売」

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「個人事業主です。一生懸命に頑張ってセールスをしているのですが、なかなか売上があがりません。科学的に売上を上げるためには何をどうすれば良いのでしょうか?」といったご質問をいただきました。かなり乱暴な質問なので、かなり乱暴な答しか出せない気もしますが・・・

質問の内容から「メーカー」ではなく「小売り」か「ディーラー」をされていることがわかってきます。問題は「B to B(企業向けの販売)」なのか?「B to C(消費者向けの販売)」なのか? そこがハッキリしないこと。さらに「どんな商品を扱っているのか?」そこが不明なこと・・・

ですから、肝心な核心部分には触れられないかもしれないことを、最初にお断りしておかなければならない・・・ そう思っています。

いずれにせよ「セールスをしていて、売上が上がらない・・・」ということダケはハッキリしているわけです。

セールスには「2つの方向」があります。1つは「横売り」と呼ばれるもの。これは、たとえば「1つの商品」を、より多くの人に拡販していく(横に広げていく)・・・ という方法。

もうひとつが「縦売り」と呼ばれるもの。これは、たとえば「1人の顧客」に、何度も何度も色々なものを販売していく(縦に重ねて行く)・・・という方法です。

どうやら、マーケティングの勉強をしていらっしゃらない人=素人商売をされていらっしゃる人ほど「横売り」をしておけば事業は軌道に乗るハズ・・・ と思い込んでいらっしゃいます。

大きな落とし穴は、ここにあります。どんな会社でも、どんな個人事業でも「縦売り ありき」で、業績が確保できることを理解する必要があります。

高度経済成長〜バブル経済・・・ そして、好景気の終焉・・・「猫もシャクシも 横売り戦略で大成功の時代」が終焉をむかえたのが1992年ごろ・・・ 

当然、日本中の企業の業績が下がったわけですが、この時点で新しいマーケティング理論がクローズアップされました。1995年に「ONE to ONE マーケティング」という概念が世界中に普及したのです。

私が勤めていた西武百貨店は、いち早く この概念を「マーケティング戦略の中核」として経営いたアメリカの「ノードストロームという百貨店」と提携し、そのマーケティング戦略を取り入れました。

西武流の形として完成したものは「クラブ オン カード」というものです。その後、この概念が日本中の食品スーパーに普及し「食品スーパーのポイントカード」が全国に普及していきました。

その時「ONE to ONE マーケティングのシンボル」として生まれたキャラクターが「西武の お買い物クマ」です。

「お買い物♪ お買い物♪ 西武の夏市(冬市)♪♪」というテーマソングと共に、テレビのCMを流し「キャァ〜〜〜〜っっっ カワイイ〜〜〜っ♪」と大騒ぎされていたキャラクターの裏側には、このような「しっかりとした戦略」があったのです。

さらに、国産自動車メーカーの販売店(ディーラー)などにも、このマーケティング戦略が普及していきます。

このマーケティング戦略のポイントは、たったひとつ「手元にある商品を どうにか売りつけるのではなく、1人の お客さんに 何でも良いから 何かを買い続けていただくことを重視する」・・・といったもの。

つまりは「縦売りの徹底」という概念が普及していったのです。売上の80%近くは「常連顧客、リピート顧客、紹介顧客によって生まれる」・・・ 

「1人の新規顧客を獲得する経費は、5人の既存顧客をキープする経費額と同等である。つまり、常連客を捕まえている企業が勝つ・・・」といったものでした。

それまで、好景気の中「横に広げる戦略」をとっていた(新規開拓が全てという戦略をとっていた)「ハウスメーカー」や「自動車メーカーの販社」までが、この「縦売りの徹底」を企業戦略として導入していったのです。

ハウスメーカーは、リフォーム事業などまで拡大して「一生のおつきあい」というコンセプトを打ち出しました。

また「自動車メーカーの販社」の場合・・・ 既存顧客が車検の時期に、最低でも「車検のオーダー」をいただいてくる・・・ 

販売する商品は格安の「車検という商品」でかまわないから、とにかく既存顧客のリピートオーダー率を90%以上にする・・・ こういった戦略を徹底して実践していったのです。

この戦略を徹底して推進したのは「トヨタグループ」・・・ そして、当時業界3位の「ホンダ」が、この戦略を徹底できなかった「日産自動車」を追い抜いて業界2位に上っていきました。

日産自動車は、数年後「フランスのルノー」の参加に入り「カルロス・ゴーン氏」がCEOとして日本にやってくることになります。

2000年ごろ、日産自動車のシンボルといわれた「フェアレディーZ」が世の中から一時消えることとなりました。

その一方で、ホンダ自動車は「既存顧客への買い換えアプローチ」を徹底することで「オデッセイ」のシェアを驚くほど伸ばしていきました。

結論から言えば、どんな業種であれ「既存客」からのリピート発注を受けていかなければ、売上は いつまでも上がらないし安定しない・・・ ということになります。

では、既存顧客のみを対象に企業経営、事業経営をすれば良いのか?というと、そうではありません。

顧客は代謝します。人間には寿命があるのです。ですから、既存顧客ばかりを追いかけていても、いつの間にか 顧客が目減りしてしまうのです。

結論から言えば、既存顧客が目減りする分だけ、新規顧客の開拓の必要があり、その新規顧客を常連顧客にしていくアプローチが必要になってくるのです。

「なかなか売上が上がらない・・・」という方々に、こういう質問をしたいと思います。「あなたは、どんな商品を販売しているのですか?」とは聞きません。

こう質問すると売上が上がらなくなるからです。「あなたは、どんな お客さん を相手に 大きく 何をセールスをしていると言えるのでしょうか?」

こう聞くと「扱う商品」までも「あなたの顧客のため」に増やしていかなくてはならないことが理解できると思います。

「これを売る」ではなく「この人にずっと何かを買っていただく」・・・ これこそが「1995年以降の経済熟成期のマーケティング戦略=販売戦略」の基本である・・・ そう考えてください。

売上が上がらない・・・ とおっしゃる方は、まず「自分の優良顧客が誰なのか?」「そのお客さんが、自分が現在扱っている主力商品ではない 応用商品 を欲しがっていないか?」を確認していくことが大切ではないか・・・ マーケティング戦略的には、そのように思う次第です。




ホンキで売上を上げたいのであれば、ここに紹介したノウハウの詳細をゆっくりと読んでいただければ・・・ そのように思います。ホンキで解説していますから、とっても長文ですよ・・・

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